急増する自殺と突然死。「技術の習得はほど遠く、単に肉体労働を強いられている」<ルポ・苦境に立つベトナム人実習生3>

超高齢化し、労働人口が減る一方の日本社会で、外国人労働者たちはすでになくてはならない存在となっている。技能実習制度を使って来日した若者たちも多いが、今般のコロナ禍では、日本人同様、彼らも苦境に立たされた。在日外国人労働者数として最多のベトナム人も例外ではない。困窮する彼らの衣食住を支援してきた埼玉県のベトナム寺院で現状を取材した

【写真】本堂の一角に収められているたくさんの位牌。すべてベトナム人のものだ

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◆解雇された実習生や妊婦が暮らす

(略)

◆不慮の死を遂げた位牌が並んで

「日本のNPOや支援団体は、物資の支援はしてくれますが、精神的ケアにまでは至っていません。ベトナム人は仏教徒が多く、お寺にメンタルケアを求めて来るのです。ベトナムには自殺の文化はないのですが、日本に来た実習生たちのうち12人が、これまでの3年間で自らの命を絶っています」(タム・チーさん)

また若くて元気だった実習生の突然死も増えた。過労による心不全なのか、死因ははっきりとはわからない。タム・チーさんは火葬された遺骨を寺で供養し、故郷の遺族のもとに返してきたという。

大恩寺の本堂には不慮の死を遂げた位牌がたくさん並んでいた。背景には、ストレス、周囲に相談できる人がいない孤立感、日本語がうまく通じないといった、一人では簡単に解決できない問題がある。

そしてタム・チーさんが今いちばん危惧しているのは、「医療保険」の問題だ。実習生や留学生は在留資格があるので、健康保険証を持ち3割負担で医療が受けられる。しかし、いったん解雇された実習生はどうなるのだろうか。

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https://news.yahoo.co.jp/articles/ac0e0f9040a6db5ebbc59bf94a7a9970a41aa069