買いたいモノがない?
しかし、キモはそのことではない。そもそも、お金をもらっても消費しないで貯蓄する人が多いのだ。給付金だけでなく、ボーナスの主な
使い先は貯蓄だし、前回の特別定額給付金もそれに多く回ったと言われている。現金ではダメでクーポンならいいという話ではなく、
われわれに「お金を出して買いたいモノ」がないのが、根本の問題でないのか。消費したくなる「モノ」「感情」をかきたてないと、
いくらお金をバラまいても無意味ではないかと考えるわけだ。いったい、われわれは何が欲しいのだろうか?

筆者はバブルの大量消費時代もかろうじて覚えがあるので、逆にZ世代やミレニアム世代に会うと、「何にお金を使っているのか」と必ず聞く。
最も多く返ってくるのは「さあ……?」と首をひねる反応だ。

使っていないわけではない。コロナ禍で激減はしたが、その前は友人との飲食や他愛のない買い物をしたり、
今なら動画の配信サービスやマンガや雑誌の読み放題アプリなど月額課金にも使っている。しかし、「お金があったらこれが欲しい」
という実態のある「モノ」の名前はあまり出てこない。

共通ポイント「Ponta」リサーチ会員に、年末年始に購入・消費したい商品・サービスを聞いた 「Ponta消費意識調査」によると、
1位は「食品(ふだん食べるもの)」、2位は「食品(お取り寄せなど、特別なもの)」、そして3位が「外食」だった。コロナ禍という
特殊性はあるものの、生活雑貨も衣服もましてや自動車もトップ10には出てこない。別に飲食ジャンルだけで聞いたわけではなく、
全10分野から3つまでを選んでもらった結果だというから、本当に所有したいモノが思い当たらないのだろう。

https://toyokeizai.net/articles/-/500524