厚生労働省のルールに反して8〜9月、自宅療養中の新型コロナウイルス感染者に抗インフルエンザ薬「アビガン」を処方していた千葉県いすみ市の公立病院「いすみ医療センター」が7日、記者会見を開き、不適切な処方だったと認めて謝罪した。一方、当時はコロナ患者が多く「災害級の状況だった」として、処方したことは「やむをえなかった」とした。
会見には、伴俊明病院長と、センターの新型コロナ対策アドバイザー(当時)としてアビガンを処方した平井愛山(あいざん)医師が出席。8月13日に市、保健所、地元医師会、センターが参加する会議でアビガン使用を決め、翌14日〜9月12日、コロナ患者98人に処方し、うち10代が8人だったと明かした。健康被害は確認されていないという。
アビガンのコロナ患者への投与について厚労省は、研究名目で、患者の同意を前提に、入院患者に限って認めている。動物実験で胎児に奇形が出るおそれが指摘され、妊娠の可能性のある女性や妊娠させる可能性がある男性への使用には注意が必要とされるためだ。
平井医師は、「当時は災害級の事態で、特例だと思っていた」と説明。患者や保護者から同意を得ていたうえ、処方後も医師が経過観察していたとして「処方は問題だったとは思わない」と語った。伴病院長はアビガンの処方に対し、「ある程度の有効性はあったと思う」とし、「感染が拡大するなか超法規的な措置だった」と述べた。

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