鋼も樹脂も一体塗装する日産栃木工場 温度差の壁を新塗料で克服
2021.11.19 日経クロステック

日産自動車が栃木工場に導入した「ニッサンインテリジェントファクトリー」(以下NIF)は、同社が開発した最新の生産技術を数多く組み込んでいる。
既にSUV(多目的スポーツ車)タイプの新型電気自動車(EV)「アリア」をNIFで造り始めており、同社執行役副社長で生産・SCM担当の坂本秀行氏が
「明日の日産の飛躍の要になる」とするほどだ。今回は、建屋から一新させた塗装工場を紹介する。

■鋼板の焼き付け温度を下げて一体塗装
塗装工場の塗装ラインでは、バンパーとボディーが一体となった状態の車両が、左右に多関節ロボットを配置した塗装エリアにゆっくりと入ってくる。
車両がある位置に到着すると、多関節ロボットが一気に動き出し、先端に取り付けられたスプレーガンから塗料を吐出し、手分けして車体を塗装していく。

近年、車体の樹脂化が進んでいる。多くの自動車が、例えばバンパーにポリプロピレンなどを採用。ABS樹脂を外装部品に採用する例も増えた。
一方、ボンネットやルーフ、ドアなどのボディーは鉄鋼やアルミニウム合金の板材が主に使われている。
このように車体の材料が金属と樹脂で異なるため、従来はこれらを別々の塗装工場で処理する必要があった。
その最大の理由は、金属と樹脂で塗装後の焼き付け温度が異なる点だ。鋼板では160℃、樹脂では85℃と2倍近い差がある。
この課題を解決するため日産は新しい塗装技術を開発した。具体的には、鋼板など金属への焼き付け温度を樹脂と同じ85℃へと下げられる技術だ。
低温で硬化する水性塗料を独自に開発すると同時に、3層構造の塗膜の上段と下段に硬化剤を入れて焼き付けを促進している。
「85℃で焼き付けできる水系塗料は世界初」(日産自動車)と胸を張る。

https://xtech.nikkei.com/atcl/nxt/column/18/00001/06266/
https://cdn-xtech.nikkei.com/atcl/nxt/column/18/00001/06266/zu1a.jpg
https://cdn-xtech.nikkei.com/atcl/nxt/column/18/00001/06266/zu2.jpg
https://cdn-xtech.nikkei.com/atcl/nxt/column/18/00001/06266/zu3.jpg
https://cdn-xtech.nikkei.com/atcl/nxt/column/18/00001/06266/zu1b.jpg

例のホンダ車の画像
https://i.imgur.com/J13YIgt.jpg