「いよいよ再開です。本当に長かった。ギリギリのところでやってきて、色々なことを言われたりもして、飲食やってきてこんなに辛かったことはない。このタイミングを待っていました」

 東京都は10月25日から、都の認証を受けた上で時短営業や酒類提供の制限を行なっていた飲食店に対し、制限を解除した。その数日前、東京都墨田区の居酒屋店経営・石橋満さん(仮名・50代)は、顔を綻ばせながら、通常営業を再開できる喜びを語ってくれたが、一方で気掛かりなこともあると下を向く。

「給付金、店によってはかなり大きな額もらっちゃって、色々使ったりした人がいたでしょう。まさに”アリとキリギリス”状態にならないかと心配なんです。そうなると、この通りの賑わいもなくなっちゃうね」(石橋さん)

 石橋さんの店舗の隣、向かい側にはそれぞれ洋風居酒屋・A店と創作料理を出す居酒屋・B店があった。

 A店は先代から引き継いだ息子が、約4年前にコンセプトを変え再オープンしたが振るわず。息子の知人だというコンサルタントの助言によって韓国風、しばらくするとアジア風、などと雰囲気を変えながら細々と営業を続けていた。しかし、何度目かのモデルチェンジで洋風に鞍替えした直後に、コロナ禍がやってきた。

 B店は、都内の名店で修行を積んだという若い主人が、約3年前にオープンさせた店だ。開店当初は客足が途切れることがない、まさに「人気店」の様相を博していたが、コロナ禍以降は時短営業要請などを受け、店には閑古鳥が泣いていた。弁当などのランチ販売をしていたこともあったが、昨年夏以降、営業が再開されることはなかった。

https://news.yahoo.co.jp/articles/51d56480d332779c4212b8c4e544f3df5a3a128e