コロナ禍で収入半減した「正社員運転手」の嘆き〜「働き方改革」で残業ゼロ、生活苦のシングル父
9/17(金) 14:01
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東洋経済オンライン

■手取り月35万円が「18万円」に激減

 大手企業の役員車の運転手をしているマサヤさん(仮名、47歳)の収入は、かつては手取りで月35万円ほどあった。しかし、現在はわずか18万円。理由の1つは、コロナ禍の影響で役員たちの利用が減ったこと。そして最大の原因は政府による働き方改革のせいだと、マサヤさんは訴える。

 「私たちのような運転手の収入はかなりの部分を残業代が占めます。基本給はたったの17万円ですから。それなのに政府は、やれ労働時間の短縮を、やれ人間らしい働き方をなどといって、残業時間を減らしてしまった。働き方改革というなら、残業代に依存する給与体系も併せて変えてくれないと、本当の改革とはいえないのではないでしょうか」

 マサヤさんたち運転手は夜間の会食や、週末のゴルフなどに出かける役員たちを乗せてハンドルを握ることが多い。こうした時間外労働に対する手当てや残業代込みでなんとか生活できるだけの給与を得ていたのだという。

 従来は月120時間ほどの残業は当たり前。ところが、2019年4月に働き方改革関連法が施行され、労働時間に上限が設けられたことから、月の残業時間は最大でも60時間に収まるよう会社の規定が変更されてしまったのだという。その後、新型コロナウイルスの感染拡大により残業時間はほぼゼロになってしまった。

 マサヤさんは、企業の役員車などの運行を請け負う会社の正社員ドライバー。会社はある大手企業の関連子会社でもある。親会社である大手企業のほか、さまざまな企業や団体からも業務の発注を受けているという。

 マサヤさんによると、以前であれば、例えば夕方、役員を会食場所まで送り届けた後、運転手はその場で待機していた。ところが、働き方関連法施行後は会食場所まで送り届けると運転手の仕事は終了。役員らが帰宅する際は、それぞれにタクシーを利用することになった。マサヤさんは「待機時間と自宅までの送迎を合わせると3、4時間はかかります。その分の残業代がまるまるつかなくなりました」と説明する。

ゼンブン
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