沖縄戦で亡くなった犠牲者の遺骨を含む土砂を、埋め立て工事に使うな――。そうした趣旨の意見書が、全国の地方議会で可決されている。
沖縄県名護市辺野古で米軍基地建設を進める政府が、埋め立て用の土砂の採取地に沖縄本島南部を加えたことへの懸念と反発が広がっている。
76年前の太平洋戦争末期、沖縄の地上戦は約3カ月に及び、日米で20万人以上が亡くなった。沖縄本島南部は最後の激戦地となり、多くの日本兵や民間人が命を落とした。ボランティアらによる遺骨の収集はいまも続く。

 防衛省は、米軍普天間飛行場(宜野湾市)の移設先の辺野古埋め立てに使う土砂の採取候補地に、本島南部を加えた。辺野古の軟弱地盤を改良するため、防衛省が昨年4月に沖縄県へ提出した設計変更申請書で明らかになった。
■「戦没者を2度殺す行為」

 「戦没者の遺骨を新基地建設の埋め立てに使用することは、犠牲者の人々の尊厳を冒瀆(ぼうとく)し、『物言わぬ』戦没者を2度殺すような人道に反する行為だ」。今年7月、奈良県議会は全会一致でこうした意見書を可決し、沖縄本島南部の土砂を埋め立てに使わないよう求めた。

 沖縄県出身で「奈良―沖縄連帯委員会」代表の崎浜盛喜さん(74)は「辺野古移設への賛否以前の問題だ」と指摘。沖縄県人会などとともに5月、奈良県議会に決議を要請した。
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