華春瑩氏は20日、中国の戦略について問われると、互いに敬意を払うという条件ならば米国をはじめどの国とも友好関係を推進したいと発言。ただ米国が中国を「中傷」している問題に触れて、「われわれがにっこり笑ってそれに耐え、まるでおとなしい羊のように一切反撃してはならないと言うのか。そうは思わない」とくぎを刺した。

バイデン米大統領は1月の就任からこれまで、おおむねトランプ前政権の対中強硬路線を引き継ぎ、米中高官レベルの協議はほとんど進展がないどころか、双方の感情を害する場になっている。

3月にアラスカで行われた高官会談では、中国側が米国の外交政策とマイノリティの扱いを公然と非難。米国側が「これ見よがしの行動」だと評してあきれかえる場面があった。先月の天津における協議でも、両国は互いに相手の要求を聞くだけで話し合いに応じる気配は見えず、中国は米国が「想像上の敵」を生み出しているとかみついた。

<お前が言うな>

中国は、米議会の共和党議員だけでなく米情報機関の間でも支持されている新型コロナウイルスが武漢ウイルス研究所から流出したとの説を、一笑に付している。その代わりに展開しているのが、2019年にフォート・デトリックの米軍関連研究施設からウイルスが流出したという主張だ。

また新疆ウイグル自治区におけるジェノサイド(民族大量虐殺)が行われているとの批判に対しては、米国で広がった人種差別に抗議する「黒人の命も大切だ」運動を引き合いに反撃している。

ロイターの分析によると、中国の外交官が公式の場で人権とフォート・デトリックの施設に言及する回数が増加しており、西側諸国に批判する資格などなく、自分たちが抱えている問題こそ調査すべきだというメッセージを拡散させている様子がうかがえる。

習近平国家主席が5月、中国は国際世論への働き掛けに「奮闘」しながら、より「愛される」国家を目指すと発言したことで、一部の専門家は融和姿勢が強まるのではないかと期待したが、同氏の外交はむしろ威圧感が増すばかりだ。

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