末期がんと闘うアダルトビデオ(AV)男優、沢木和也さん(54)が、これまでの半生を赤裸々につづった自叙伝「伝説のAV男優 沢木和也の『終活』 癌で良かった」(彩図社、1430円)を29日、出版する。

 沢木さんは昨年4月、食道と下咽頭(かいんとう)のがんを公表。今年に入ってからは治療を断念し、最近は動くこともままならなくなった。この春から高校生になった一人息子の野球の練習を遠くから見守ることが生きる支えだったが、それもかなわないという。

 沢木さんは、1988年に21歳でAV男優デビュー。「ナンパもの」と呼ばれるジャンルで、派手な姿で女性をナンパする役どころがはまり、人気を集めた。30年以上、第一線で活躍し、撮影現場に通い続けた。

 昨年2月の撮影中、珍しくせりふがうまく言えず、仕事仲間に勧められて病院に行った。呼吸器科では異常が見つからず、セカンドオピニオンを求めて内科を訪ねると、食道に「絵に描いたような」がんが見つかった。食道と下咽頭のがんで、骨盤と肺にも転移していた。最も進行した「ステージ4」で、「余命は1〜2年」と告げられた。

 沢木さんはがんがわかってから、仲間の編集者や男優の協力で、自叙伝出版の準備を進めてきた。出版の目的は、「息子のため」。印税を息子に渡すため、そして、父親の仕事を知らない息子に、メッセージを残すためだ。息子にも好きに生きてほしい。そんな願いを込め、これまでの半生を赤裸々につづった。

ソース
https://mainichi.jp/articles/20210618/k00/00m/040/002000c