青森県は16日までに、2020年度版県社会経済白書をまとめた。青森県が「働く場として選ばれるために」をテーマに、新規学卒者の県外流出に歯止めをかける方策を多角的に分析。県外流出の
要因となっている職種のミスマッチ解消に加え、大学・大学院卒業者の就業割合を高めることで企業の生産性が高まり、労働者の所得水準や労働環境が向上していけば、
若年層などに青森県が選ばれることにつながると提言している。

 青森県の人口減少は自然減のほか、転出者数が転入者数を上回ることによる社会動態の減少も課題。特に高校、大学卒業時の18歳と22歳で進学、就職を理由とした転出超過が大きい。

 県外流出につながる職種のミスマッチが生じる主な要因として(1)希望する職種が県内に存在しない(2)存在しているが求職者層に認識されていない(3)雇用条件が折り合わない−の三つを挙げた。

 (1)は、16年の経済センサスを基に青森県の産業別従業者数構成比を全国と比較。青森県は建設業の割合が高く製造業の割合が低いという特徴があるものの、
他産業の構成比に大きな違いはみられなかった。また、19年度の産業別充足率はいずれの産業も100%を下回っており、極端に求人が少ない状況でもなかった。
県内は職種が少ないわけではなく、仕事の「質」が課題となっているとした。

 (2)と(3)については、学生への調査を通じ、学生が職業を選択する際に相談相手や情報が不足しているなどの課題が浮き彫りに。職業体験や先輩社会人との対話を通じ、
高校生や大学生に、県内にある仕事の内容や種類を認識してもらうことが重要とした。

 新規学卒者の県内定着が進まないのは、青森県の賃金が全国で最低水準にあることも要因と指摘する。19年の一般労働者1人1カ月当たりの所定内給与
(月々決まって支給される給与)は23万9千円と全国最下位で、全国平均と6万8700円の開きがあった。また17年の統計によると、県内企業の就業者に占める
大学・大学院卒業者の割合は15.8%で、全国平均より13.9ポイント低く、14.9%の秋田県に次いで全国ワースト2だった。

https://news.yahoo.co.jp/articles/af9684201d9dfc0acfad4972ff1e6fba37d6ba08