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ワクチン接種者なら屋内でも原則マスク不要とするバイデン米政権の新たな指針が14日、波紋を広げた。新型コロナウイルス対策でマスク着用を強く国民に呼び掛けてきたこれまでの姿勢からの急転換に、現場は混乱。感染の再拡大を不安視する声も出ている。

「(社会的に不可欠な)エッセンシャルワーカーに『ワクチン警察』になれというのか」。小売業や精肉業など130万人の労働者で組織する全米食品商業労働組合は、声明で疾病対策センター(CDC)の新たな指針を批判した。
 スーパーなどの従業員はマスクを着用しない客がいれば注意するが、誰が接種を受けているか把握する術がない。「マスク不要」となれば他の客や従業員の危険が一気に高まるという主張だ。
 新指針をその通り実行するかは州や企業の判断だが、対応は割れた。中西部のミネソタ州はマスク着用義務令を取り下げたが、最大都市ミネアポリスは「当面続行する」と発表。小売業でも、最大手ウォルマートが接種者ならマスクなしで買い物できると打ち出したのに対し、大手ターゲットは引き続き客と従業員にマスク着用を求める方針を示した。
 CDCは感染拡大阻止にワクチンが効果を発揮していると強調。最近の研究で無症状の感染者を減らす効果も明確になってきたとして、「指針見直しの重要な要因になった」と説明した。
 バイデン大統領は13日、マスクを着けずに公の場に姿を見せ、「素晴らしい日だ」とコロナ対策の前進をアピール。一方、ジョンズ・ホプキンス大の感染症専門医はワシントン・ポスト紙で「子供を含むワクチン未接種者の感染が急増する」と懸念を表明した。