地方議会の女性議員が出産する際、産休を取得する権利が保障されることになった。都道府県議長会と市議会議長会、
町村議会議長会が、議会運営のひな型となる「標準会議規則」を改正し、労働基準法と同等の産前6週、産後8週の産休
を明記した。出産を経験した女性議員からは「大きな一歩」との評価が出ている。
 地方議会は、標準会議規則をもとに、それぞれの議会の規則を定めている。労働基準法は女性労働者の産休を規定する
が、特別職の議員には同法が適用されないため、これまでは標準会議規則の中で欠席理由として「出産」を認めていた。
ただ、本人が欠席日数を決めて議長に届け出る方式で、議会内で理解が得られなかったり、本人が遠慮したりして、十分
に休めないケースが少なくなかった。
 3議長会は1〜2月に、産前6週、産後8週までの産休期間をそれぞれの規則に明記した。市議会議長会と町村議長会は
「配偶者の出産補助」も欠席理由に加えた。
 今回の改正は、首相の諮問機関の地方制度調査会などが、多様な人材の政治参加のためとして、出産や育児の規定を標
準会議規則に明記するよう求めたのを受けた措置だ。昨年末に閣議決定された第5次男女共同参画基本計画も、産前・産後
の期間への配慮を求めていた。
 2017年から規則改正を求めてきた「出産議員ネットワーク」の発起人で、東京都豊島区議の永野裕子さん(48)は、
08年に第1子を出産した。このとき、出産予定日まで議会に出席し、議会臨時会と出産日が重なったため「車椅子に乗って
でも来い」と先輩議員に言われたという。「産休は、赤ちゃんと母体の命に関わる問題。改正は『やっと』とは思うが、
大きな一歩だ」と歓迎する。
 さらに、「地方議員は保育園の申し込みに必要な就労証明書を取れないなど、保育の問題も山積み。若い世代が子育て
を諦めず、政治に関われる環境整備が必要だ」と訴える。

朝日新聞デジタル
https://www.asahi.com/articles/ASP465V36P2LUTIL03Y.html
https://www.asahicom.jp/articles/images/AS20210406001809_comm.jpg