「週刊少年ジャンプ」は日本でもっとも売れているマンガ雑誌であり、
「少年ジャンプ+」はウェブ発でもっとも人気マンガを輩出していると言っていいウェブマンガ誌(マンガアプリ)である。

「ジャンプ」「ジャンプ+」が数あるマンガ媒体のなかでも特異なのは「新人の連載作品から大ヒットが連綿と生まれ続けている」ことにある。
たとえば近年では、吾峠呼世晴『鬼滅の刃』や芥見下々『呪術廻戦』などがそうだ。

しかし常識的に考えれば、新人よりも経験のある作家と組んだ方が編集者も作品づくりはラクだろうし、売れる作品を作りやすいように思える。

にもかかわらず、「ジャンプ」はなぜ他誌と比べても圧倒的に新人に力を入れているのか?
 有望な新人を発掘し、育成するために「ジャンプ」はどんなことをしているのか? 

「ジャンプ」を最強たらしめる新人育成システムの全体像について、「ジャンプ」副編集長の齊藤優氏と、「ジャンプ+」副編集長の籾山悠太氏に訊いた。


――ほかのマンガ編集部では多くて新人賞は3つか4つですが、ジャンプは定期開催の「月例賞」「赤塚賞・手恟ワ」などに加えて
不定期のものが常時何かしら募集があり、文字通り桁違いの新人賞があります。
公表された情報を元に計算してみましたが、賞金と新人への原稿料だけで年間で億を超えると思います。どういう考え方が背景にあってこうなったのでしょうか。

齊藤 既存の賞だと送る気が起きなかった才能に振り向いてもらうために、いろいろな切り口の新人賞を試しては変えることを繰り返しています。
たとえば1年に1度ほどの頻度で開催している「スタートダッシュ漫画賞」は「編集部ではいつも『マンガは出だしが重要』と言っているんだから、
最初の4〜7ページがおもしろいかだけで勝負する賞をやってみたらどうか?」という発想から生まれました。
編集部の若手が「こういう漫画賞をやりたい」と言ったものはだいたい通ります。「予算的に厳しい」とか言わないのがうちのいいところです。





『鬼滅の刃』『呪術廻戦』…「ジャンプ」だけが“圧倒的一人勝ち”している「納得の理由」
https://gendai.ismedia.jp/articles/-/81464