この60年で1番のチャンス」Relux創業者があえて今“海外旅行事業”で新会社を始めたワケ

大崎真澄:ライター
2021/4/5 09:00 ニュース,ビジネス

「いわゆるDXは、産業が動いている順に進んでいったと思うんです。海外旅行はそもそも産業が動いていないので、この1年でもDXがほとんど進まず、むしろ多くの事業者が厳しい処理を迫られています。だからこそ、まだまだ変革できる余地が大いに残されていると気付きました」(篠塚氏)

旅行業界にはJTBやHISを筆頭に大手の旅行代理店が複数存在し、彼らが長くに渡ってこの領域をけん引してきた。

JTBが発表している旅行動向調査によると、コロナ前の2019年には推計で約2000万人が海外旅行に出向き、海外旅行消費額も4.4兆円を超えている。

篠塚氏によると「全体の半分ほどがツアー経由のもの」とのことなので、海外旅行ツアーだけでも2兆円を超えるポテンシャルがあるわけだ。

ただ大きな産業である反面、創業間もないスタートアップが参入するにはハードルが高い市場だった。

特に海外の募集型企画旅行を実施するには第一種旅行業の免許を取得しなければスタートラインに立てない。その上ですでに既存のプレーヤーが複数社存在しているため「ホテルや航空会社からしても、『もういっぱいだからいらないよ』というトーン」だったという。

ところがコロナ禍でその状況が一変した。今ではホテルでも航空会社でも、電話をかければ誰でも相談を受けてくれて、予約も取りやすい状況。参入障壁が下がっている。

「もちろん既存の大手代理店もデジタル化に取り組んでいますが、IT業界視点での(徹底した)デジタル化ができているかというと、必ずしもそうではない部分も多い。そこにはすごく大きなチャンスがあると考えています」(篠塚氏)

今の状況であれば、大手企業よりもスタートアップの方が柔軟に動ける側面もある。日本で海外旅行が自由化されてから60年弱ほど経つが「その中では今が最も参入のチャンスだと感じている」というのが篠塚氏の見解だ。

https://signal.diamond.jp/articles/-/664