【社説】北朝鮮のミサイル発射は隠して擁護、人権決議案には不参加
3/25(木) 11:01
配信
朝鮮日報日本語版

 北朝鮮が21日午前、西海上で短距離巡航ミサイル2発を発射した。米国メディアが24日に一斉に報じた。すると韓国軍は後になって「その時間に把握していた」とコメントした。北朝鮮のミサイル発射を知りながらこれを隠していたのだ。韓国軍は「北朝鮮に関する全てのことを公表するわけではない」と弁解したが、だとすれば昨年4月には同じ巡航ミサイル発射をなぜ公表したのか。今や韓国国民は北朝鮮による重大な軍事動向も米国メディアを通じて知らねばならなくなった。韓米当局は今回の挑発行為を公表しないことにしたようだが、これも先日の韓米共同声明において「北朝鮮の非核化」が抜け落ちたのと同じく、文在寅(ムン・ジェイン)政権が非公開を要請したのだろう。しかし米国政府はこの事実を自国のメディアに伝え報道させた。

 韓国軍関係者は今回の巡航ミサイルが挑発行為かどうかについて「現時点では評価できない」と述べた。このミサイル発射が挑発かどうかを結論づけるには技術的な分析など重要ではない。今も韓国政府と韓国軍は北朝鮮集団の実態を必死で隠し、否定しようとしている。つまり韓国政府にとって重要なことは安全保障ではなく南北イベントであり、そのイベントによって選挙を有利に戦いたいということだ。この政治行為には韓国軍も加担している。韓国軍は先日、北朝鮮が西海北方限界線(NLL)近くの昌麟島に放射砲を配備したことを確認した。北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長は2019年に昌麟島を訪れた際、砲撃を命令し南北軍事合意を破った。昌麟島での砲配備によって軍事合意は明らかに無効になったにもかかわらず、韓国国防部(省に相当、以下同じ)は「軍事合意違反ではない」と強弁した。巡航ミサイルによる挑発行為についても「国連決議違反ではない」と主張した。政権による政治を後押しするため敵を弁護するようになったのだ。
 韓国軍だけではない。韓国外交部は国連による北朝鮮人権決議案の共同提案国に3年連続で参加しなかった。これは国際社会に向けた韓国政府としての重大な立場の表明だ。ところが共同提案国に加わらなかった理由については国民に一切説明していない。民主化運動圏といわれるこの政権にとって実は人権問題など重要なことではなく、彼らにとって重要なことは南北イベントだけだ。金正恩氏とのショーさえもう一度できるのであれば、北朝鮮住民はもちろん韓国国民の人権でさえ彼らは踏みにじるだろう。

 今回の国連人権決議案には韓国軍捕虜の人権問題がはじめて記載された。北朝鮮に抑留された数万人の韓国軍捕虜は奴隷のように生活し、今この瞬間にも死んでいるだろう。文在寅政権は様々な形の「南北ショー」には力をいれているが、韓国軍捕虜の送還は一度も要求したことはない。韓国統一部長官はこの日「西海の公務員殺害事件から多くの時間が過ぎたので、民間による北朝鮮支援の早期再開を後押ししたい」と述べた。韓国国民が悲惨な形で殺害されても全く関心がないようだ。
https://news.yahoo.co.jp/articles/793afd87aec44c19dd18faf131a7882b762f657f