7月に開幕する東京五輪・パラリンピックは20日、海外からの観客なしで開催されることとなった。
新型コロナウイルスの脅威は開幕を1年延期しても収まらず、大会の開催形式に影響を与えることになる。
コロナ禍で打撃を受けた日本経済を再生する足がかりと期待されていた、100万人規模とされる海外からの観客は“幻”となる。

次の焦点は会場の観客数上限に移る。
大会組織委員会が約900億円と見込むチケット収入に直結する一方、「安全最優先」(橋本聖子会長)は譲れない。
3日の5者協議では、政府のイベント上限規制に準ずることを基本に、4月中に判断することで合意した。
関係者によると「定員の50%以内」を原則とする案が浮上している。
結論によっては、販売済みチケットの払い戻しや再抽選が必要となる場合もある。

観客数が固まれば、警備や輸送など準備作業は一気に加速する。
4月にはテスト大会も再開され、コロナ下での運営について実践的なテストも行われる。

機運盛り上げも大きな課題となる。
2月の森喜朗前会長の女性蔑視発言に続き、今月17日には開閉会式の企画・演出責任者の不祥事が発覚し、水を差す事態が続いている。
組織委幹部は「(海外観客受け入れ断念で)少しでも風向きが変わればいいが」と語る。

25日には五輪聖火リレーがスタートする。
「希望のともしび」(菅義偉首相)を安全につなぐことが、大会成功の大前提となる。

https://www.sankei.com/tokyo2020/news/210320/tko2103200006-n1.html