ウクライナ政府が、旧ソ連時代の1986年に事故を起こしたチェルノブイリ原発の世界文化遺産登録を目指していることがわかった。文化情報政策省が読売新聞に明らかにした。国連教育・科学・文化機関(ユネスコ)への申請に向け、3月中にも国内候補の暫定リストに加える方針だ。

 4月26日で発生から35年を迎えるにあたり、悲惨な事故を後世に伝え、再発防止を訴える狙いがある。
 事故では4号機が爆発し、大量の放射性物質が飛散した。世界原子力協会によると、作業員や周辺住民ら約30人が死亡し、約35万人が避難した。施設構造や作業員のミスが原因とみられ、国際的な事故評価尺度は最悪の「レベル7」(深刻な事故)とされた。
 4号機は現在、放射性物質漏れを防ぐためコンクリートで覆われ、鋼鉄の屋根がかぶせられている。原発の半径30キロ・メートル圏内は依然として居住が禁じられている。
 放射線量が下がったエリアもあり、ウクライナ政府は、安全面に配慮しながら原発や廃虚となった街を見学する観光地化に力を入れている。2019年には12万人以上が訪れた。
 放射能の脅威を伝える世界遺産には、日本の「広島平和記念碑」(原爆ドーム)、核実験が繰り返された太平洋・マーシャル諸島の「ビキニ環礁」がある。(モスクワ支局 田村雄)

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