覚醒剤使用で無罪判決 「警察官が飲み物に混ぜた疑い残る」
2021年03月19日 12時05分
 覚醒剤を使ったとして覚醒剤取締法違反(使用)罪に問われた派遣社員の男性被告(45)=住所不定=の判決公判が19日、名古屋地裁であり、板津正道裁判長は「警察官が被告に出した飲み物に覚醒剤を混ぜた疑いが残る」として、無罪を言い渡した。

 判決によると、被告は19年12月5日に愛知県警東海署に逮捕されて取り調べを受けた際、警察官から紙コップ入りのお茶や水を提供され、約5時間で計20〜30杯飲んだ。翌日、病院で採尿された尿から覚醒剤成分が検出された。
 公判で被告は「使った覚えがない。採尿前に出されたお茶がとても苦かった」と起訴内容を否認。弁護人は捜査の違法性を訴え、無罪を主張していた。
 板津裁判長は逮捕後の採尿手続きについて「尿採取前の飲料提供時に異物混入を防ぐ手だてをしておらず、未開封のペットボトル入り飲料水を飲ませることを定めた要綱にも反する不適切なやり方で行われた」と指摘。「警察官には決定的な証拠を得るために覚醒剤を混入させる動機がなかったとはいえず、警察官が混入しなかったことを示す証拠もない」と述べた。

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