https://news.yahoo.co.jp/byline/nakajimakei/20210315-00227547/

大震災後も日本に留まることを決意した中国人 「日本人の底力を信じていますから」

東日本大震災から10年という節目が過ぎた。多くの報道から、あの日、自分が取った行動を思い出した人は多かっただろう。当時、日本に住んでいた中国人の中には、「日本人の犠牲の精神に感動した」という人が多かった。

彼らの中には、大地震と原発事故を受けて、家族から「一刻も早く帰ってきて」と強く訴えられ、日本に留まるべきか、帰国するべきか、悩んだり、戸惑ったりした人が少なくなかった。

4日かけて日本を脱出した人もいた
 10年前、私が取材した中には、こんな人がいた。

「中国に住む両親が、『お願いだから、とにかく一度、中国に帰ってきて、安心させて』と強くいうので、フライトを探したのですが、成田や羽田から中国への直行便はすでに完売。そこで、羽田から関空へ飛び、関空→ソウル、ソウル→北京へと乗り継ぎ、北京から国内線に乗って実家のある河北省の町に着いたのは、東京を出発してから4日後の深夜でした。これまでにないくらい疲労困憊しました」

 大震災の混乱の中、とにかく東京から逃げ出さなければ、と思い、行動に移した外国人は多かった。外国人だけに限らないが、東京から関西方面に一時的に避難したという人もいた。当時の取材メモによると、入国管理局には再入国ビザを申請する外国人が殺到して、長蛇の列ができていた。

「もう日本はおしまいだ。逃げなくては……」と、アルバイト先に何も告げずに帰国してしまい、その後も電話1本すら掛けてこなかった無責任な中国人もいれば、大震災を機に、日本人のすばらしさを見直し、日本人の底力に希望を託し、日本人とともにここで生きることを選んだ中国人もいた。