核弾頭上限、260発に引き上げ 英、安保外交見直し発表
2021年03月16日22時18分

 【ロンドン時事】英政府は16日、安全保障や外交の中長期計画を定めた「安保・国防・外交政策統合レビュー(見直し)」を発表し、保有する核弾頭の上限を現在の180発から260発に引き上げる方針を表明した。冷戦終結後の世界の核軍縮の流れを変える転機となる可能性がある。英国にとって冷戦終結後で最も包括的な対外・防衛政策の見直しとなり、欧州連合(EU)を離脱した英国が、向こう10年間で目指す新たな「国家ビジョン」が示された。

 レビューは約100ページで、2030年までの対外・国防方針や世界経済へのアプローチを詳述。政府は発表に先立つ声明で、「民主主義が繁栄する国際秩序の擁護者」として世界的な課題解決に役割を担う意向を表明した。また「時代遅れの国際制度に依存しながら国益を守り、価値観を普及させることは不可能」とした上で、「より開かれた国際秩序の構築」を同盟諸国と共に目指す考えを強調した。

 声明は台頭する中国を念頭に、インド太平洋が「世界の地政学上の中心」になりつつあると指摘。空母「クイーン・エリザベス」を含む空母打撃群を東アジアなどに派遣する計画や、ジョンソン首相がEU完全離脱後の主要な初外遊先にインドを選んだことなどを挙げ、インド太平洋に外交・安保政策の重点を「傾斜」させていく姿勢を明確にした。
https://www.jiji.com/jc/article?k=2021031601242&;g=int