参院長野選挙区補欠選挙(4月25日投開票)をめぐり、立憲民主党候補の羽田次郎氏(51)が共産党や市民団体と結んだ政策協定が波紋を呼んでいる。
「日米同盟に偏った外交」の是正が盛り込まれているとして、推薦した国民民主党や立憲の支持団体である連合が反発。立憲内からは、秋までに行われる
次期衆院選への影響を危惧する声も出ている。

 「党本部が協定に拘束されるものではない」。立憲の福山哲郎幹事長は9日の記者会見で、政策協定はあくまで県連レベルの動きだと強調し、火消しに追われた。

 立憲は党綱領で外交方針について「健全な日米同盟が軸」と明記している。一方、協定は日米同盟破棄を主張する共産に配慮したとも映る内容で綱領とはずれがある。
背景には、協定をまとめた立憲県連が長野県内で一定の支持を持つ共産を重視していることがある。

 共産と距離を置く国民は「党の基本的な外交理念と相いれない」(玉木雄一郎代表)と批判。
連合も「この文面では駄目だ。前例になってはならない」(幹部)と不快感を示す。

 国民が推薦の取り下げを示唆したため、事態収拾に向けて立憲の平野博文選対委員長は県連に協定の修正を要請。
だが県連側は「修正すれば話がこじれる。選挙は勝つことが一番大事だ」として拒否した。立憲幹部は「このままでは自民党から野党共闘に
くさびを打ち込まれる」と危機感を隠さない。

 長野補選は同日選となる衆院北海道2区補選、参院広島選挙区再選挙とともに、次期衆院選の行方を占う。東京五輪・パラリンピック前の
衆院解散の観測も流れる中、野党内では長野での不協和音が衆院選全体に波及しかねないとの懸念も漏れ始めた。
 国民幹部は「長野の件を認めたら衆院選でも踏み絵を踏まされる」と警戒。
立憲幹部は「調子に乗って共産とやり過ぎると他の地域で連合が離れかねない」と指摘した。

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