中国の海警法 覇権主義強める法は撤回せよ
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik20/2021-02-24/2021022401_05_1.html
中国政府が1日に海警法を施行して以降、沖縄県尖閣諸島沖の日本領海への中国公船の侵入ペースが加速しています。
同法によって、軍事組織である海警局の活動領域の拡大と、武器使用を含めた同局の権限強化が法制化されました。
中国自身が批准した国連海洋法条約をはじめ海の秩序を定めた国際法の原則をあからさまに踏みにじっています。
中国は東シナ海、南シナ海で力による現状変更の動きを強めており、同法の制定は覇権主義的行動をエスカレートさせるものです。
中国政府は海警法を撤回すべきです。

中国が尖閣諸島を含む海域を自国領と主張しているもとで海警法の施行は日本にとっても深刻な問題です。
尖閣沖の日本領海で中国海警局の公船が日本漁船に接近する危険な動きを繰り返しています。「砲らしきもの」を搭載した海警局船の侵入も報告されています。偶発的な衝突のおそれを高める行動です。

海警法には、国連海洋法条約に基づく国際海洋秩序とまったく相いれない重大な問題があります。
国連海洋法条約は沿岸国の権利に配慮しつつ国際社会に「航行の自由」を広く認めています。
沿岸国の主権が及ぶ範囲は12カイリ以内の領海に限定され、外国船舶は沿岸国の平和や秩序を害さない限り、領海の「無害通航権」を認められています。
接続水域、排他的経済水域、大陸棚についてはそれぞれの海域ごとに沿岸国に認められる権限を限定的に定めています。

ところが海警法はこうした海洋法秩序にいっさい言及せず、「わが国の管轄海域」なる規定を勝手に設けました。範囲は示されず無限定です。
中国当局がきわめて広い周辺海域を一括して「わが国の管轄海域」とすることがどのようにも可能です。さらにその全域が中国領海であるかのように幅広い権利の行使を認めています。
海警局の職責は「わが国の管轄海域」とその上空で「海上の権益を擁護する法執行活動にあたる」ことです。何が「海上の権益」なのか、定義は示されず、これも中国当局が恣意(しい)的に決めることができます。
(以下略