「飲酒運転ゼロ目指して頑張るね」死亡事故から10年 講演1200回、長男に誓う母
2021年2月7日 20時10分 毎日新聞

2011年2月に福岡県粕屋町で男子高校生2人が飲酒運転の車に命を奪われた。その一人、長男寛大(かんた)さん(当時16歳)を失った
山本美也子さん(52)=福岡市東区=は再発防止を願って講演を続けてきた。9日で事故から10年。講演回数は1200回を超え、
これまでに広がった飲酒運転撲滅への思いを投稿者につづってもらい2人に伝えようと山本さんは1月下旬、ネット上に「お空に声を届ける掲示板」を開設した。

7日、山本さんは粕屋町の公共施設「サンレイクかすや」の大ホールにいた。飲酒運転撲滅を呼びかける福岡県の行事がオンラインで動画配信され、
山本さんはカメラに向かって「飲酒運転ゼロの思いが福岡から全国のみなさんに届きますように」と訴えた。

11年2月9日、私立博多高(福岡市)1年の寛大さんは、10日にマラソン大会がある会場近くに住む同級生、皆越隼人(はやと)さん(当時16歳)の家に泊まる予定だった。
「あした、ちゃんとマラソン大会、行くのよ」。9日午後11時過ぎに山本さんが寛大さんにメールを送った。町道を歩いていた2人が事故に巻き込まれた時間だった。寛大さんから返信はなかった。

警察から即死だったと聞いた。「もっと生きたかったよね」。涙が勝手にあふれ出した。事故の3日後に営まれた葬儀にはたくさんの同級生や友人が来てくれた。
「事故を自分の口で伝えたい」。1カ月半後、地元の公民館でマイクを握っていた。飲酒運転ゼロを願う講演の第一歩だった。

企業、学校、刑務所。声をかけられれば全国どこでも向かい、1日2回講演することもあった。事故のことを話せばあの日が脳裏によみがえり、悲しみと喪失感に襲われた。
「前を向かないと何も変わらない」。そう言い聞かせて続けた講演は1202回に上る。

https://mainichi.jp/articles/20210207/k00/00m/040/137000c

平成29年2月27日の講演
https://www.youtube.com/watch?v=aArkCXhna9s
https://img.youtube.com/vi/aArkCXhna9s/0.jpg