【北京、ワシントン時事】バイデン米政権発足後初めて行われた米中外交トップによる5日の
電話会談は、中国が領土・主権に関する「核心的利益」と位置付ける問題を中心に平行線をたどった。
中国側が期待する両国間の協力や関係改善に向けた具体的な足掛かりは見いだせなかった。

 バイデン大統領は4日の外交演説で、米国と競り合おうとする中国を「権威主義」と位置付け、
対抗姿勢を鮮明にした。一方で、地球温暖化対策などを念頭に「米国の国益にかなうなら協力する
用意がある」と表明。ブリンケン国務長官もこれまで、米中関係には競争と協調の両面があると
指摘してきた。

 中国側はトランプ前政権時代に停滞した「協力」を糸口に両国関係改善を図りたい考えだ。
楊潔※(※竹カンムリに褫のツクリ)共産党政治局員は2日、米民間団体とのオンライン対話で、
新型コロナウイルス対策、経済回復、気候変動の分野は「広大な協力の余地がある」と呼び掛けた。
電話会談でも「(米中双方に利益がある)ウィンウィンの協力」を求め、「中米関係の発展は両国民に
巨大な利益をもたらし、世界の平和と繁栄を促進する」と秋波を送った。

 しかし、電話会談に関する米側発表では「協力」について言及がなかった。中国外務省によると、
今回の一致点は「意思疎通を保つ」の一つのみ。米側発表にはこれすら盛り込まれず、
対中国で「弱腰」姿勢と見られることを避けたいバイデン政権の思惑がにじむ。
https://www.jiji.com/jc/article?k=2021020600532&;g=int