「共産党に編集権」は違法 英国、中国テレビの免許取り消し 対中“強硬姿勢”加速へ
2021.2.5
産経新聞

 英国のメディア規制当局が4日、中国国営中央テレビ系列の国際放送、中国国際テレビ(CGTN)の放送免許を取り消したと発表した。中国共産党が編集権を握っており、英国の法律の規定に反すると結論付けた。香港の旧宗主国である英国は、中国が香港国家安全維持法(国安法)を制定し、香港民主派を弾圧していることなどに反発し、中国との対決姿勢を強めている。 

 CGTNは中国政府の対外発信強化を図るため、国営中央テレビの国際放送部門を分離して発足した。英国では、中国のメディア会社が保有する放送免許で番組を放送していた。
http://www.iza.ne.jp/smp/kiji/world/news/210205/wor21020520000011-s1.html

 ただ、英国の法律では、放送免許を保有する組織が「特定の政治団体」の影響下にあることを禁止している。

 英規制当局は今回、この会社には編集権がなく、中国共産党という「特定の政治団体」が番組の最終的な編集権を握っており、これ以上、放送を続けるのは不当だと結論付けた。

 英国は1997年の香港返還時に、中国に50年間の「一国二制度」を約束させたが、習近平国家主席率いる中国共産党政権に反故(ほご)にされた。香港の「高度な自治」が失われたことに加え、中国が軍事的覇権拡大を進めていることなどに強く反発している。

 ボリス・ジョンソン首相率いる英政府は1日、「中国包囲網」の意味合いもある環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)への加盟を正式に申請した。最新鋭空母「クイーン・エリザベス」を含む空母打撃群を今年、アジア地域に長期間、展開させる。

 英国の対中強硬姿勢は今後、加速しそうだ。