期待と冷淡、分断浮き彫り バイデン大統領就任、祝賀ムードなく 米各地
1/21(木) 20:35
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時事通信

 新型コロナウイルスの感染拡大が深刻化する中、米各地では祝賀ムードは広がらず街中は静かだった。市民からは、トランプ前政権からの転換に期待する声が上がる一方、社会の現実を見据えて冷めた評価をする人、トランプ氏の大統領選勝利を信じ続ける人もおり、米社会の分断の根深さを改めて浮き彫りにした。

 ハリス副大統領の出身地カリフォルニア州オークランド。感染者が300万人を超えた同州の大半では自宅待機令が続き、街は閑散としていた。バイデン氏に投票した白人男性(67)は「トランプ政権の4年間の混乱を一掃してほしい」と環境保護や移民政策、景気刺激策で新政権の手腕に期待する。ただ、米社会の分断については「バイデン氏は緩和はできるが、誰にも修復できるとは思わない」と冷ややかだ。

 どちらにも投票しなかった黒人のエリックさん(35)は、経済再生やイデオロギーをめぐる混乱に嫌気が差し、就任式を見なかった。コロナ禍でフィットネス関係の職を失ったといい、ハリス氏にも「多くは期待していない」と話した。

 前政権下ではコロナ対策が迷走し、米国は死者、感染者とも世界最多。シカゴ郊外に住む黒人の会社員タニヤ・グリーンさん(44)は「仕事や家など米国人がこの間失った全てのものを取り戻してほしい」とコロナ禍の収束を願う。ニューヨークで20日行われた人種差別抗議デモに参加し、今春大学に進学するオリビア・フェンブルックさん(18)も「何もしなかったトランプ氏に比べれば、必要最低限のことをするだけでも天文学的な助けになる」と期待を寄せる。

 一方、トランプ氏の勝利を信じる支持者は落胆している。就任式前日も「バイデン氏は就任しない」と断言していたニューヨーク州在住の白人男性(38)は「私たちの国の敗北だ。ホワイトハウスは(リベラル派に)陥落してしまった」と嘆く。就任式直前にフロリダ州入りしたトランプ氏を沿道で出迎えたランディ・アンダーソンさんはニューヨーク・タイムズ紙に「ジョー(バイデン氏)は長くは持たないと思う」と話した。 
https://news.yahoo.co.jp/articles/ef2ea60b9cb91df81a605c522d680359af9c0428