「中国との向き合い方は日本に学べ」という知中派オーストラリア元首相の意味ありげなアドバイス

 中国とオーストラリアの関係がかつてないほど悪化するなか、「オーストラリアは日本から、中国への対処方法を学ぶべきだ」と勧めるのが元豪首相のラッド氏だ。中国の故事成語に精通し、流ちょうな中国語を話す知中派。声高に中国を批判するのではなく、状況を見極めながら声を上げるよう豪政権に促している。

◇「オーストラリアはメガホンを置け」
 香港の英字紙サウスチャイナ・モーニング・ポスト(SCMP)が12月1日に開いた中国関連の会議で、ラッド氏は中豪関係を取り上げ、豪政権に対して「メガホンを置いて、日本外交の脚本から何かを学び取るべきだ」と主張した。

 ラッド氏の見解はこうだ。
「日本とオーストラリアの類似性を考えれば、日本政府が中国政府に対処する能力は、特に教訓のあるものだと考える。日本はオーストラリアと同様、米国の緊密な同盟国であり、日本はオーストラリアと同様、中国と巨大な経済関係を持っている。日本にはオーストラリアと同様、自由と民主主義がある。そして日本には、オーストラリアとは異なり、尖閣諸島をめぐる東シナ海での領有権問題がある」

「私が気づいたのは、上記の状況にかかわらず、安倍晋三氏と菅義偉氏の両政権とも、少なくともこの数年間、中国との関係をうまく管理し、日中関係が動揺の対象、つまり危機というものになっていないことだ」

「両国がメガホンを片づけ、昔ながらの手段に訴えよ。それは『外交』と呼ばれるものだ」
「『外交』が意味するものは、両国関係において相手側が問題視する事案を双方が受け入れることであり、『外交』のプロセスを使ってそれらを一つ一つ処理すること」

 SCMPはラッド氏について「メガホンを『机の下』に置き、政府が『すべての問題に寡黙なわけではない。選択的である。相手が沈黙しようとしない問題に対しては(声を上げる)』という外交政策を取る日本の手法を高く評価している」と解説している。

続く
https://news.yahoo.co.jp/byline/nishiokashoji/20201223-00213924/