韓国映画を観るだけではなく、現場に行って映画と
関わった私の経験からいうと、韓国は役者の層が厚い。
主演級の男女優から、脇を固める個性派や
シブ目の役者までバラエティに富んでいる。
主役級になるとオーラがあるし、男優の場合は背も高く
立ち姿がきれい。女優はいうまでもなく華がある。
しかも、その多くがちゃんと動けて、ちゃんとアクションもできる。

『人狼』のキャスティング(カン・ドンウォンとハン・ヒョジュ)
には感心したし、映画のできはさておき『〜VAMPIRE』の
ヒロインを演じた女優さん(チョン・ジヒョン)もとてもよかった。
キャスティングに幅があるというのは、映画界にとって
大きなアドバンテージになる。

一方、日本の場合、アイドル的な人気タレントが
主演を張り、脇を固めるのはいつものおじさん役者。
シリアスなドラマ系になると、主演はだいたい同じ顔触れ。
いつも同じ役者ばかりで作品の区別がつかないほど。
実写の場合はやはり役者ありき。その部分が充実
している韓国はやはり強いと思う。

今の日本の劇場は、追体験の場にしかなっていない。
人気アニメや漫画、ベストセラー小説の実写化ばかり。
オリジナルといえる作品とはほぼお目にかかれない。

それは何を意味しているかといえば、観客は
「知っているものしか見たくない」。彼らは、正体の
わからないものに金と時間はかけたくないということになる。

これは映画館としては末期的な状況だと、私は思っている。
少なくとも韓国はまだそういう状況にはなっていない。
私が韓国に行った3〜4年くらい前にはまだ4〜5冊の
映画雑誌が出ていて、いかにもマス向けな化粧品の
広告もいっぱい入っていて分厚かった。これも今の
日本ではありえない、韓国の映画マーケットが元気な証拠だ。
https://news.livedoor.com/article/detail/19374410/