香川県の養鶏場で鳥インフルエンザの感染が確認されてから15日で10日となる。感染は4例に広がり、殺処分した鶏は38万羽余り。14日には5例目の感染疑いも新たに判明した。感染の連鎖に、関係者の間では「終わりが見えない」と悲壮感が漂う。なぜ香川で感染が相次ぐのか。

 「どうして香川ばかりで」。4例目の感染が確認された13日、県幹部はぼう然とした表情でつぶやいた。

 三豊(みとよ)市の養鶏場で感染が確認された3日後の8日、同県東かがわ市で、11〜13日には三豊市の2か所で鳥インフルエンザウイルスが検出された。3例目までは毒性の強い高病原性のウイルスだと確認され、4例目は調査中だ。さらに14日、同市内で感染疑いのある鶏が見つかり、県が遺伝子検査を進めている。県は4例目までの計約38万4000羽の殺処分をすでに終えている。

 国内の養鶏場で鳥インフルエンザが発生したのは2018年1月以来。このときも同県さぬき市の養鶏場が舞台となった。

 鳥取大付属鳥由来人獣共通感染症疫学研究センターの山口剛士教授(動物衛生学)によると、今年はユーラシア大陸や朝鮮半島などで野鳥への感染が確認されているといい、渡り鳥が国内にウイルスを持ち込んだ可能性を指摘する。

 同県内で飼育されている肉用鶏と採卵鶏は計約760万羽。卵の生産量は全国13位、鶏肉の出荷数は15位と決して多くはない。一方で、野鳥が集まりやすい農業用ため池は約1万4600か所あり、全国3位。面積あたりの密度は同1位だ。山口教授は「ため池に飛来した渡り鳥の間で感染が広まった恐れがある」と話す。

https://news.nifty.com/article/domestic/society/12213-861088/