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人気アニメ「機動戦士Z(ゼータ)ガンダム」をモデルにした巨大模型が道の駅・久米の里(岡山県津山市宮尾)での展示をスタートし、1日で20年。今年はアニメのテレビ放送開始から35年の節目でもある。
「自分のものづくり人生の集大成。最高のものを作りたかった」と語る制作者の自営業・中元正一さん(56)=宮部下=に、作品への思いを聞いた。

【写真】Zガンダムが展示されている、道の駅「久米の里」は、岡山県津山市にあります

 高さ7メートル、幅3.5メートル、重さ2トン。設定のおよそ3分の1の大きさで、鋼鉄製の骨格と繊維強化プラスチック(FRP)の装甲を持つこの作品の制作を思い立ったのは1989年の夏だった。

 幼いころから工作好き。津山工高時代は自動車模型やラジコン作りに親しみ、卒業後、社会人になってバイクのカスタマイズやサイドカーの自作を楽しんでいた。次に何を作るか考えていた時、「唐突に『ガンダムを作りたい』と思った」。

 モデルとしたのはファンの間で“藤田版”と呼ばれるデザイン。「雑誌で偶然見つけ、心を引かれた」。作中で兵器として描かれているロボット「モビルスーツ」のデザインを多く手掛けた藤田一己さんが、アニメ版とは別に仕上げたものだ。

 「当初の構想では実際に乗って動かせるようにするつもりだった。そのためには技術が必要だった」と旧久世町の金属加工会社に就職。約3年働き、溶接や加工といった技術を磨いた。

 29歳になっていた93年4月2日、雑誌にあった写真4枚を基に設計図に着手した。約1カ月で書き上げ、自宅の農機具庫を作業場にして制作に専念。FRPを装甲に成型するための型は鉄板や発泡スチロールで手作り。脚の骨格はパワーショベルの構造を応用して可動式にし、電気モーターや油圧シリンダーも装備した。

 ただ、全て1人で行っていたこともあり、作業量は予想をはるかに超えた。2、3年と想定していた制作期間は大幅に過ぎ、およそ6年たったが完成までの道のりは遠い。「まるで山に登るように、制作はどんどん険しくなっていった。完成のめどが立たず泥沼に陥ったが、やめるのだけは嫌だった」

 胸部に大人1人が乗れる開閉式のコックピットを確保していたものの、最終的に「苦渋の判断」で1歩でも動かせるようにすると決めていた目標を変更。総工費約500万円、約7年を費やして300以上のパーツを組み合わせた“モビルスーツ”がそびえ立ったのは、99年12月7日だった。

 当初は自宅で公開し、2000年に旧久米町に寄贈。同年5月にオープンした久米の里に設置するため町が格納庫を整備し、同年10月1日に除幕式を行った。