みんなのスマホが地震を検知、国内導入への壁は個人情報?
2020.09.03 日経コンストラクション

今や誰もが持ち歩くスマートフォン。それが、地震時に加速度計となって早期にアラームを発令する――。この壮大な構想の実現に向けて開発に挑むのが、米グーグルだ。

グーグルが開発を進める「Android Earthquake Alerts System」とは、地震発生時に多数のスマホで計測した加速度データをリアルタイムで専用のサーバーに送信・分析して、
地震の初期微動(P波)を検知する。主要動(S波)の到達よりも先に、利用者へ警戒を促すアラームを発する仕組みだ。エレベーターと連動させて地震時に緊急停止させるなど、防災にも役立てる計画だという。
グーグルの目指すシステムの基本的な原理は、米国地質調査所(USGS)などが構築した地震早期警戒システムの「ShakeAlert」や、日本の気象庁が運用する緊急地震速報と変わらない。
ただし、広い国土に多数の地震計を分散して配置する従来の方法は、コスト的な問題から設置できる数に限界があった。例えば日本の気象庁の場合、速報に用いる地震計や震度計は全国に約1690カ所。
地域によっては地震計同士が数十キロメートル離れているなど、計測の「空白地帯」が存在する。
国内で普及台数が数千万に上るスマホを地震計として利用できれば、P波検知のデータ数は飛躍的に増える。使い方次第では、速報の正確性の向上や地震動の分析の高度化につながるわけだ。

https://xtech.nikkei.com/atcl/nxt/column/18/00142/00818/