「あなたが残した分断と政策行き詰まりに苦しむのは私たちです」 安倍首相への手紙

 拝啓 安倍晋三さま。昨日の記者会見、拝見しました。失礼ながら7年あまり、あなたの政権について長文記事を書き続けてきた私は、今も悩んでいます。「ご苦労様」と申し上げたい気持ちはやまやまなのですが、本当に苦労をしてきた、あるいはこれから塗炭の苦しみをなめるのは、私たち国民ではないか、という思いを深くしているからです。何のはなむけにもなりませんが、お手紙したためました。【吉井理記/統合デジタル取材センター】
 あれは2013年7月4日のこと。政権復帰して、最初の国政選挙になった参院選の初日、JR池袋駅での演説の一節を、今も覚えています。
 「……景気も良くなって、給料も上がって、ビアガーデンでお父さんが飲むビールのジョッキも1杯にするところを、もう1杯飲もうと。お店も喜ぶ。そうやって好循環が生まれていくんです!」
 金看板の「アベノミクス」を誇る文脈で語られた何の変哲もない一節です。
 アベノミクスが本当に国民生活を潤したのかは後述するとして、持病もあってお酒をあまりたしなまないのに、縁が薄いはずの「ビアガーデン」とか「ビールのジョッキ」などという言葉で、それこそビアガーデンが集まる池袋の聴衆の心をつかもうとする姿に、ある種の「痛ましさ」を感じたのです。
 この時期、…

https://mainichi.jp/articles/20200829/k00/00m/010/164000c