学校現場での教育実習の受け入れがコロナ禍で難しくなっていることを受け、文部科学省は11日、今年度に限り、大学の授業などを
教育実習の代わりに単位として認める特例措置を発表し、全国の教育委員会などに通知した。「真にやむをえない場合」の措置だが、
今年度は「教育実習なし」でも教員免許が取得できるようになる。

 文科省によると、教員免許法が施行された1949年以降、教育実習なしでの免許取得が可能になるのは初めて。

 教育実習は、教員をめざす学生が幼稚園や小中学校で3〜4週間、高校などでは2週間程度、現場で学ぶ。
受け入れ校は大学が割り当てたり、学生が母校に依頼したりする。しかし、休校による学習の遅れへの対応や感染症対策のため、
各地の教委からは、実習生の受け入れが困難との声が出ていた。

 そのため文科省は5月、実習期間の3分の1までは大学の演習などで代替できるとする通知を全国の教委などに出した。
学校での学習指導員としての活動も、大学の判断で「代替授業」にできるとした。

 ただ、感染拡大が続いていることなどから、今回の通知では、代替期間を「全部または一部」に拡大し、可能な限り教育実習と組み合わせるよう求めた。
その上で、大学による演習での代替も含め、教育実習が全くできない場合も想定。教員免許法の省令を改正し、教職課程の認定を受けた他の授業で代替ができるとした。

 今回の措置により、教員の質の低下も懸念される。文科省は、あくまで、学生が教員免許を取れない事態を避けるための「セーフティーネット」だと説明。
萩生田光一文科相は11日の閣議後会見で、教育実習なしでの教員免許取得について「究極はその選択肢も一応認める」としつつ、
「今年の(教員採用試験の)採用者は質が低下しているというそしりを受けないよう、原則はやってもらう」と強調し、大学や学校現場に実習機会の確保を促した。

https://www.asahi.com/articles/ASN8C66QNN8CUTIL01B.html