フィリピン大統領「マスクはガソリンで拭くといい」 専門家は警告

フィリピンのロドリゴ・ドゥテルテ大統領は31日、マスクはガソリンで消毒すると良いという持説を繰り返し、「冗談を言っているのではない」と強調した。
専門家は、そのようなことはしないよう警告している。ドゥテルテ氏は22日にも、マスクはガソリンで消毒するよう発言し、政府はこれを「冗談だ」と説明していた。

ドゥテルテ大統領はあらためて、自分の以前の発言に言及し、
「(批判勢力は)『ドゥテルテは狂ってる』と言ったが、馬鹿め! 自分が狂ってるなら、お前たちが大統領になるべきだ」と反発した。

その上で大統領は、「自分が言ったのは本当だ。アルコールが手に入らないなら、特に貧乏な人たちは、ただガソリンスタンドへ行って(ガソリンで)消毒すると良い」と述べた。

「冗談で言っているんじゃない。冗談じゃない。みんなして、人の脳みそに入り込もうとする」

ドゥテルテ氏が前回、マスクの消毒にガソリンを勧めた後には、フィリピン政府関係者は大統領が冗談を言っていたのだと説明。
保健当局は、布製のマスクは普通に水で洗うべきだし、医療用マスクは使い捨てで交換すべきだと推奨した。

ガソリンがマスクを消毒するという科学的証拠はない。ガソリンに長時間触れていると人体に害を及ぼすおそれがある。
引火性の高い液体をマスクにかければ、出火の危険もある。

先週は何と言ったのか

ドゥテルテ大統領は22日の時点で、「1日の終わりには、マスクをどこかにかけて、もし(消毒剤の)ライゾールが買えるなら、それをスプレーするといい」と述べた。

さらに、「(ライゾールが)ない人はガソリンかディーゼル油で浸すといい。(中略)ガソリンを見つけたら、(マスクを)手で持ったままつっこむといい」と発言していた。

ニュースサイト「ラプラー」によると、ハリー・ロック大統領報道官はこの後、「大統領就任から4年たつのに、まだあの人のことを分かっていないなんて信じられない」と述べ、
「(ただの)冗談だ。どうしてまたガソリンで洗濯するんだ」と、大統領発言を冗談扱いしていた。

1日の感染者約4000人

新型コロナウイルスによる死者を2月に中国以外で初めて報告したのは、フィリピンだった。

ドゥテルテ氏は当初、感染拡大は大したことがないとして、「そのうち自然になくなる」と話していた。
しかし、その後は感染者が増え始め、3月初めに首都マニラのあるルソン島のロックダウン(都市封鎖)を命令した。

ロックダウンは6月1日から段階的に緩和されていたが、ドゥテルテ大統領は31日、マニラの規制は8月半ばまで続けると発表した。

30日には国内で1日過去最多の3954人の感染が確認されている。感染者の国内累計は8万9374人に上る。
死因が新型コロナウイルスによるとされる死者は、米ジョンズ・ホプキンス大学の集計によると1962人。

マニラでは現在、高齢者や子供の移動を規制するなどコミュニティー全体が隔離状態にある。

ドゥテルテ氏はさらに、いずれワクチンが使えるようになった際には、低所得者を優先して無料配布すると約束した。

https://www.bbc.com/japanese/53604881