南シナ海に展開する中国軍戦力

中国は、海南島を足がかりして西沙諸島の永興島に軍事拠点を手にしており、さらに中国から見て南シナ海の果てにある南沙諸島にも7つの人工島を建設して軍事基地群を確保している。
それらの前進軍事拠点には合わせて4カ所の本格的軍用滑走路が設置されており、潜水艦や水上戦闘艦の補給態勢も整っている。加えて、多くの前進軍事拠点には地対艦ミサイルや地対空ミサイルが設置されており、敵艦艇や航空機の接近を阻止する態勢は万全だ。
米海軍では、それらの海洋軍事施設を空母10隻以上に相当する脅威として警戒している。
さらにもう1つ、米海軍にとっては不鮮明ながらも深刻な脅威ファクターがある。対艦弾道ミサイルDF-26には既存の弾道ミサイル防衛システムでは迎撃不可能なDF-DZ極超音速グライダーが装着されるという。

強襲揚陸艦で火災発生、米海軍に打撃

一方アメリカ海軍の態勢であるが、かなり不安な状況であることは否定のしようがない。
いまだにアメリカ海軍首脳主流は空母打撃群を主要な海軍戦力として誇っているが、現在、南シナ海に急展開して中国軍と戦闘を交えることができる部隊は無理をしても2セットのみである。
また、それらを構成する艦艇や航空機も、南シナ海で待ち受ける中国軍の各種ミサイル戦力や航空戦力や海軍戦力それに対艦弾道ミサイルによる厳重な防御網を突破できるかどうかは、はなはだ疑問である。
さらに悪いことには、ポンペイオ国務長官が対中対決姿勢を公表したのとちょうど前後して、カリフォルニア州のサンディエゴ軍港で整備中の米海軍強襲揚陸艦ボノム・リシャールが火災を起こした(7月12日)。
当初はすぐに鎮火できるものとみられていたが、火力が強く鎮火に手間取り丸4日以上艦内で火災が続いてしまい、いわゆる大破した状態となってしまったのだ。

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