「僕サーズ」聞き間違えられ逮捕「時勢が悪かった」


今年3月、京都府城陽市のコンビニエンスストアで重症急性呼吸器症候群(SARS)に
感染しているように装い営業を妨害したとして、偽計業務妨害の疑いで逮捕された60代
男性が不起訴処分になり、17日までに産経新聞の取材に応じた。

男性は逮捕時から「『サーズ』とは言っていない」と主張、店内の防犯カメラに記録された
音声が冤罪(えんざい)を晴らす証拠となった。

男性は3月31日午後1時半ごろ、城陽市内のコンビニでチケットを発券し、支払いをする際に、
パートの女性従業員に「僕はサーズですので消毒してください」などと言い、店の業務を妨害
したとして、偽計業務妨害の容疑で京都府警に逮捕された。

 だが、男性や男性の弁護士によると、状況は異なる。

「事件」前、感染力が強い流行性角結膜炎にかかり、勤務先からは仕事を休むように言われた。
 当日、男性は現金を振り込むためにコンビニに来店。支払いの際、レジにいた女性店員に
「僕、さわるとうつるので、これ(払い込みのためのチケットと紙幣)を消毒してください」と伝えた。

だが男性の退店後、店長は110番し、店は一時閉店。レジや陳列棚を2時間以上かけて消毒した。
4日後、男性は府警に偽計業務妨害の容疑で逮捕される。
「僕、さわるとうつるので」というくだりが「僕、サーズ(SARS、重症急性呼吸器症候群)」と誤解され、
店に消毒作業をさせて業務を妨害した、という疑いをかけられたのだ。

 男性は府警の調べに対し、「サーズとは絶対に言っていない。それ以外は言った」と供述したが、
刑事に「サーズと言ったやろ」と何度も迫られたという。

 しかし、コンビニの防犯カメラの映像では「サーズ」という単語が聞き取れず、京都地検が5月14日に
不起訴処分(嫌疑不十分)とした。
だが男性は仕事を辞めざるを得なくなり、現在は無職だ。

男性は「自分も医療従事者なので、店員を守ろうと思っての発言だったが、逮捕されるとは思わなかった」
と明かす。
「インターネットにはサーズ男として名前が残っているし、散々だ。」と話した。

https://www.sankei.com/west/news/200617/wst2006170007-n1.html