中国 全人代 香港の治安維持「中国政府主導で法整備と取締り」
2020年5月22日 19時17分

中国の全人代=全国人民代表大会は、抗議活動が続く香港をめぐり、治安を維持するための法律を中国政府主導で制定するとともに、中国の関係機関による取り締まりを認める方針を打ち出し、国際社会や香港市民の間で、市民の自由が制限されるとして反発が強まっています。
22日に開幕した全人代で、王晨副委員長は、香港での国家の安全を守る法制度の整備に関する草案を読み上げ、今回の全人代で採決する方針を示しました。

草案では、香港での治安維持のための法律を制定するとともに、必要に応じて中国の治安維持部門が香港に出先機関を設けて活動を行うなどとしています。

王副委員長は、香港での一連の抗議活動について「反中勢力が公然と香港独立を叫び、社会秩序を破壊しており、外国勢力が干渉して国家の安全に危害を与えている」と非難しました。

そして「香港政府が国家安全条例を制定するのは、もはや困難だ」としたうえで「一国二制度の許容範囲を超える行為や、国家を分裂しようとする行為は絶対に容認できず、国家レベルで法制度の整備を進めることが不可欠だ」と述べ、治安維持のための法整備と取り締まりを中国政府主導で進める方針を示しました。

今回の方針が議題になることは、21日夜になって突然発表され、香港の民主派団体などは「市民の自由を制限するものだ」と激しく非難しているほか、アメリカのトランプ大統領も「非常に強い対応に出る」と述べるなど、国際社会や香港市民の間で今後、反発が強まることは避けられない見通しです。
香港行政長官 「全人代の方針支持」

香港政府トップの林鄭月娥行政長官は「当面の間、香港が国家安全に関わる法律を独自に定めるのは難しく、全人代が法律の審議に入ることを支持する」とする声明を発表しました。

そのうえで、声明では「法律の制定は、香港市民の権利や自由、それに香港の司法機関が独立した司法権を行使することに影響を与えるものではない」として、自由が制限されるという市民の反発に反論しました。

続く
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20200522/k10012441441000.html