「封鎖された喫煙所の横にたばこの吸い殻が落ちている」。京都新聞社の双方向型報道「読者に応える」のLINEに、そんな情報が寄せられた。新型コロナウイルスの感染防止策で京都市内の喫煙所は閉鎖されているが、すぐそばで喫煙してポイ捨てする人がいるらしい。現地を訪れて実態を調べるとともに、管理する京都市にどう対応するのか取材した。

 投稿者によると、吸い殻は京都駅近くにある喫煙所で午前7時ごろに見かけたという。そこで、4月上旬の同じ時間帯に八条口南東(南区)の喫煙所に行ってみた。
 「緊急閉鎖 新型コロナウイルス感染症対策の一環として当喫煙場所を当面の間、一時閉鎖します」
 喫煙所にはそんな文言の張り紙が掲示され、入り口にはテープが×印に貼られていた。市が3月27日、感染対策として、喫煙所18カ所の閉鎖を決めたことを受けた措置だ。喫煙所は不特定多数の人が集まり、密接する空間であることから判断したという。期間は定めていない。


 喫煙所には入れないはずなのに、内部には吸い殻が一つ落ちていた。周辺で吸って投げ入れたのだろうか。近くを歩くと、たばこの空き箱も放置されていた。
 八条口2階の喫煙所も同様に封鎖されていたものの、そばの路上に吸い殻が10個ほど散らばっていた。写真を撮っていると、若い男性2人組が近づいてきた。ここでたばこを吸いたいようだ。
 そのうちの一人に話を聞くと、大阪府在住の20代の学生という。「喫煙所がないと不便ですね。外で吸うと罰金(過料)だし」と不満を漏らした。
 喫煙所外で我慢できず吸う人は多いようで、この日足を運んだ、京都駅周辺の喫煙所8カ所の大半で吸い殻やごみが落ちていた。
 京都駅周辺は、市路上喫煙禁止条例で過料を徴収する区域に指定されている。区域内では路上喫煙等監視指導員が巡回しており、喫煙が見つかると千円が徴収される。
 市くらし安全推進課は、喫煙所周辺に吸い殻が散乱している現状を「把握している」というが、現時点では喫煙所の閉鎖の見直しを含め、特段の対策は考えていないとしている。

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