米企業なお中国重視、コロナも貿易戦争もお構いなし

 【上海】米中関係は数十年ぶりの水準まで冷え込み、新型コロナウイルスの大流行により、個人消費は世界的に落ち込んでいる。だが、米国の企業やブランドはむしろ、中国への強気な姿勢を強めているようだ。

 その答えは、上海中心部を取り囲んだ数百人の行列にあった。米ファストフードチェーン、ポパイズ・ルイジアナ・チキンのチキンサンドイッチを味わおうと、多くの人々がソーシャルディスタンス(対人距離の確保)を無視して列をなしていた。

 中国で1500店舗の開設を目指すポパイズは15日、初店舗をオープンさせた。

 「中国人はそれでも米国や米国ブランドが好きだ」。ポパイズ店外の列に並んでいたオリバー・コングさん(18)はこう語る。「マクドナルドがお気に入りだけど、新しいものに挑戦するのが楽しみ」

 ポパイズから小売り大手ウォルマート、電気自動車(EV)メーカーのテスラ、米石油大手エクソン・モービルまで、米企業は中国の長期的な潜在成長力に賭けている。
足元では、地政学的な緊張や景気減速といった懸念材料も増えているが、こうしたリスクを踏まえても魅力の方がなお勝ると考えているのだ。コロナ流行により、米企業の間では、中国への依存度を引き下げるためサプライチェーン(供給網)を見直す動きも出ているが、その一方で、中国の消費者向けに現地で生産する企業は事業拡大を進めている。

 中国勢の台頭を巡る懸念も一段と重要な要素となっているが、中国市場に強気で臨んでいる企業は、経営資源を中国に振り向けることは依然、価値があるとみている。

 「この市場で積極的に攻勢をかけなければ、中国勢がこちらに進出してくるだけだ。玄関先に現れるまで待っているより、ここで戦った方が良い」。こう話すのは在中国欧州連合(EU)商工会議所のヨルグ・ワトケ会頭だ。
長期的な見通しが明らかになるまで中国投資を見合わせる企業もあるが、同氏は「われわれは投資に関しては楽観的でいる必要がある」と話す。

続く
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