新型コロナウイルスの感染者や家族などに対する偏見や差別が問題となっています。国の誤った政策で長年差別を受けた
ハンセン病の元患者は「自分たちの受けた差別と構造が似ている」と指摘したうえで、「差別は絶対にあってはならない」と強く訴えています。

「ネットをみて怖かった。ハンセン病問題の再来かと。あの偏見差別を彷彿させることが行われている。ハンセン病問題の教訓は一体何だったのか。」

竪山勲さん71歳。ハンセン病の元患者です。

ハンセン病患者とその家族が受けた差別。県からハンセン病=らい病を出してはいけないと、「無らい県」運動が全国で進められました。患者は強制的に
家族から引き離されて療養所に隔離され、残った家族も、結婚や就職を拒まれるなど差別を受けました。患者を排除したのは、「それが正しいこと」
と信じた「普通の人たち」でした。

(インターネット上の書き込み)

「鹿児島県民の恥」「社会的な制裁を」「特定して吊し上げろ」「なぜ個人情報を公開しない!しないからこういう馬鹿者が地元をダメにする」

新型コロナウイルスを巡っても、感染者やその関係者に対する誹謗・中傷、インターネット上での差別的書き込みが問題になっています。

鹿児島県内でも、感染者の家族が近所の住民に「家族が感染し申し訳ない」と謝罪して回ったケースがあったほか、生徒3人の感染が確認された鹿児島市の
赤塚看護専門学校は、学校に一時は1日100件以上の抗議や意見の電話・メールが寄せられました。中には「感染した生徒の顔写真や住所を公開してほしい」
というものもあったといいます。学校によりますと感染確認からおよそ1か月が経った今も生徒3人のうち1人は入院中で、残る2人は退院し自宅待機を
続けています。学校への抗議などは減ったものの、1日に数件ほどあるといいます。

また、生徒1人の感染が確認されたラ・サール学園にも一時ひぼう中傷の電話が相次ぎましたが、現在は落ち着いているということです。
学校は来月15日に再開予定で、退院した男子生徒と、PCR検査を受け陰性だった17人は自宅や寮で在宅学習中です。

病気への不安が生み出す患者への攻撃的な感情。

竪山さんは、各地で患者を見つけ出し療養所に強制入所させる「無らい県運動」が進められたハンセン病差別と構図が似ている部分があると語ります。

(竪山さん)「(ハンセン病は)国が間違った情報流して無らい県運動、患者狩りが始まった。(新型コロナは)ウイルスの全容がわからないことで恐怖が
増したのではないか。怖いと思って身を守ろうと思う。特に鹿児島は郷土愛が強い。その強さの表れが市民による患者への批判。」

続きは下記
https://www.mbc.co.jp/news/mbc_news.php?ibocd=2020051900042214