【サンパウロ=外山尚之】ブラジル政府は16日、新型コロナウイルスの感染者数が23万3142人となったと発表した。スペインとイタリアを抜き、世界で4番目となった。死者数も1万5千人を超えた。保健相が1カ月に2回交代するなど政治混乱が続く中、感染拡大に歯止めがかからない状況だ。

4日連続で1日の感染者数は1万人を超えている。貧しい地方やアマゾン熱帯雨林の先住民居住地域にも感染が広がる一方、検査態勢が十分ではなく、同国の研究者グループは実際の感染者数は10倍以上にのぼると予測する。

感染拡大の大きな要因となっているのが政治混乱だ。ボルソナロ大統領は新型コロナを「ただの風邪」と呼び、経済活動の早期再開を求める立場を崩さない。地方自治体は外出自粛令や都市封鎖などの対策をとるが、強制力がなく、徹底できていない。経済格差が大きく、外で働かざるを得ない人々が多いことも事態を悪化させている。

15日には新型コロナ対策の責任者であるタイシ保健相がボルソナロ氏との路線対立で辞任を表明。1カ月前に前任のマンデッタ氏が辞任したばかりで、司令塔不在がウイルスの感染拡大を許している。

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