六本木のガールズバー、リモート接客を開始 新型コロナの影響をアイデアで打破 自粛ムードの「気分転換に」

新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、客足が遠のいている飲食業界。
普段は多くの客でにぎわうガールズバーも例外ではなく、店舗の家賃や従業員への給与の支払いが厳しくなる
ケースも出ている。そんな状況を脱するべく、東京・六本木のガールズバー「RUTILE」(ルチル)は4月1日から、
クラウド型のビデオ会議システム「Whereby」を使ったリモート接客を始めた。カウンター席に置いた端末を介して、
客が自宅にいながらバーテンダーの女性とおしゃべりを楽しめるサービスで、価格は6600円〜9900円(税込)。
3日までに7人の客が利用したという。

ルチルはいつも1日に30〜40人の客が訪れるが、新型コロナが広まって以降は激減し、客が来ない日もあるそうだ。
ルチルの代表を務める男性は「このままでは従業員の女の子たちが生活できなくなる」との危機感から、業界では
珍しいというリモート接客の開始を決めた。客が公式サイトで座席を選び、クレジットカードやコンビニ払いなどで
決済すると、女性が座席に端末を置き、画面越しに1時間おしゃべりができる仕組み。趣味でプログラミングを
学んだ経験がある代表者が自ら「突貫工事でシステムを作り上げた」という。

恥ずかしがる店員も

ガールズバーはキャバクラとは異なり、風営法(風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律)上、
女性が店内で特定の客を長時間接待することはできない。そのため、ルチルのスタッフが1対1で客と長時間話し込むのは
リモート接客が初めてだったという。「画面越しにお客さまと話すのは初めてなのでスタッフは恥ずかしがっていた」と代表者は明かす。

Whereby上でのトークの内容は、客が仕事の話をしたり、女性が身の上話をしたりと、「たわいもない世間話が多い」(代表者)そうだ。
スタッフが画面越しに酒を提供するわけにもいかず、飲み物は客が自前で調達しているそうだが、「新型コロナによる
自粛でお客さまも家にいることが多く、ストレスがたまっているのか、良い気分転換にしていただいているようだ」(同)という。

こうした支持を得ているとはいえ、新型コロナの流行前と比べると、売上の落ち込みは顕著だ。実店舗に来客があった場合でも、
座席を離したり、女性が一定の距離をとって話したりと制約を設けているため、従来通りのサービスは提供できない。
代表者は「厳しい状況だ」と肩を落とす。あくまで苦肉の策としてだが、ルチルは新型コロナの収束のめどが立つまでは
リモート接客を継続し、売上を少しずつ積み上げていく考えだ。そんな状況の中でも、いずれは「VRを使ったリモート接客にも
挑戦してみたい」と代表者は前向きに語った。

https://www.itmedia.co.jp/news/articles/2004/03/news162.html