出産断られ「不安で涙」 英から帰国、隔離の妊婦
4/3(金) 16:06配信
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20200403-00000126-kyodonews-soci

 新型コロナウイルスが猛威を振るう英国から帰国し、ホテルで隔離生活を送る妊娠中の日本人女性(30)が共同通信の取材に応じた。5月に出産予定だが、感染地域にいたとの理由で国内の産婦人科から何度も受け入れを拒まれ「不安で涙が止まらなかった」という。帰国者バッシングへの恐怖、外出できないストレスについても吐露している。

 女性によると、夫の転勤により渡英したのは3年前。第1子を妊娠し、今年5月上旬、ロンドン市内の病院での出産予定が決まり、夫も立ち会いを楽しみにしていた。

 だが英国で感染が広がり、ジョンソン首相が3月23日に全土のロックダウンを表明。不安に駆られて相談した現地の日本人医師に「病院は感染者対応で負荷が大きくなり、産後のサポートが行き届かないかもしれない。物資の調達にも苦労するだろう」と告げられ、帰国を決めた。

 すぐに実家のある神奈川県内の病院や産婦人科クリニックに問い合わせたが「コロナに感染していない証明書が必要」などの理由で相次いで受け入れを拒否され、帰国後14日間の待機場所とするホテル探しも難航した。

 引っ越しの準備や航空券の手配も同時に進め、日本との時差のため、深夜から未明に国際電話でやりとりを続けた。「疲労と不安で泣いてばかりいた。個人任せにせず、政府や自治体が転院先や待機場所を指定すべきだと思う」

 3月26日にようやく出産できる病院が決まり、翌27日に帰国。現在は1人ホテルで生活し、破水や陣痛が始まる不安もある中、夫からのテレビ電話が心細い気持ちを和らげてくれているという。

 留学生や帰国者の感染が次々と判明し、インターネット上で「ウイルスを持ち込むな」などの非難が相次ぐ。女性は「帰国は苦渋の決断だった。怖いのは分かるが、感染者や帰国者を責めるのではなく、終息のため一人一人ができることをしてほしい」と訴えた。