新型コロナウイルスによる肺炎への中国当局の対応が国内で再び激しい非難にさらされている。
2019年末に湖北省武漢市で集団感染が発覚した直後、公安当局が「デマを流した」として市民8人を摘発したが、
その後の報道などで全員が現地の医師だったことが判明。
「デマ」とされた内容も医師同士がグループチャットで事態の深刻さに警鐘を鳴らすものだっただけに
「感染拡大は人災」「政府は謝罪せよ」などの声が噴出している。

 武漢市衛生当局は19年12月31日、「原因不明の肺炎患者」の発生を公表した。
国内で重症急性呼吸器症候群(SARS)の再来を懸念する声が上がると、
市公安当局は20年1月1日に「ネット上にデマを流して社会に悪影響を与えた」として、市民8人を摘発したと発表した。

 ところが、27日に中国紙「北京青年報」系のネットメディアが8人のうちの1人だとして武漢市の勤務医の証言を伝えた。

 報道によると、19年12月30日、医師仲間とのグループチャットで、市内の病院で治療を受ける原因不明の肺炎患者の検査結果を議論。
「SARSと7人が確定した」「コロナウイルスと分かっただけで、違う種類かもしれない」との意見が交わされたという。

 翌31日午前1時半ごろ、チャットの発言を理由に武漢市衛生当局や勤務先の監察部門に呼び出され、
「自己批判文」を書き、1月3日に派出所で「訓戒書」に署名させられた。

 この医師はその後、新型肺炎患者の治療にあたり、自らも発症して隔離治療を受けているという。



中国当局、新型肺炎に警鐘鳴らした医師を「デマ」と摘発
https://mainichi.jp/articles/20200130/k00/00m/030/257000c