米国生まれの大学生、ニコラス・シュナイダーさん(21)は1週間ほど前から、
新型コロナウイルスの感染拡大で隔離措置が取られた中国湖北省武漢市から脱出する方法を模索し続け、そのたびに失敗してきた。

人口約1100万人の武漢市。普段はせわしなく人々が行き交う街頭を、今は不気味な静けさが覆う。
シュナイダーさんは武漢大学で、応用数学の一種である測地学を学ぶ学生だ。
野生動物などを違法に売買し、専門家がコロナウイルスの感染源だと考えている海鮮市場から、約16キロメートルの地点に大学はある。

「ゴーストタウンのようだ。人も自動車もほとんど見ない。不気味。まるで、この世の終末のような気がする」。
シュナイダーさんは29日、ロイターの電話インタビューにこう答えた。

中国当局は23日、感染拡大を食い止めるため、武漢に出入りする交通網をほとんど遮断した。
中国本土の新型コロナウイルスの感染者数はその後、2002─03年に大流行した重症急性呼吸器症候群(SARS)を超えた。

米国とドイツの二重国籍を持つシュナイダーさんは23日朝、市を出る列車に飛び乗ろうと思ったが、両親に止められたという。

「ウイルスが広がっている時に駅のような場所に行くものじゃないと。
だからとどまることにしたけど、その時初めて恐怖を感じた。どうしていいか分からなかったから」

シュナイダーさんは、米独の当局者らに脱出の方法を照会。米大使館は1100ドル(約12万円)のチャーター機の座席を用意してくれた。

武漢は「この世の終末」、足止め米大学生の孤独な脱出行
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