総務省の有識者会議が昨年12月にまとめたインターネット上のフェイク(偽)ニュースを防ぐ対策について、日本新聞協会は20日、同省に意見を提出した。

「プラットフォーマー(PF)」と呼ばれる民間事業者の自主的な取り組みを対策の基本としたことを評価する一方、効果がない場合に政府が「一定の関与」をする可能性を示したことには慎重な対応を求めた。

 有識者会議が対策を示した報告書では、偽ニュースによって「国内では現時点で大きな問題は生じていない」としつつ、欧米での選挙などを引き合いに「政治的分断が深まるおそれ」があると指摘した。
そして、一般の利用者でも簡単に書き込みや拡散ができるSNSなど、PFが提供するサービスが「偽ニュースを顕在化させる一因になっている」と強調した。

 その上で、対策はPFをはじめとする民間事業者が偽情報や偽アカウントの削除などに自主的に取り組むのが適当とし、表現の自由などの観点から「政府の介入は極めて慎重であるべきだ」とした。

 これに対し、新聞協会は意見で、「PFは責任を自覚し、問題の解決に向けて主体的に取り組む必要がある」、「政府による安易な規制は表現の自由を侵害する恐れがあり、反対する」との立場を示した上で、これらの対策について「妥当」などと賛同した。

 一方、有識者会議の報告書は、民間の取り組みに効果がない場合、政府がPFに対して、対応状況の報告を求めるなど「一定の関与」をすることも考えられるとした。これについては、「表現の自由の萎縮につながらないよう、慎重な対応を求めたい」とした。

https://www.asahi.com/sp/articles/ASN1N5TLGN1NULFA017.html