民族差別をあおるヘイトスピーチを行った個人や団体の名前の公表を定めた大阪市の条例が、表現の自由を保障した
憲法に違反するかどうかが争われた裁判で、大阪地方裁判所は、「条例の目的は正当で表現の自由の制限は
やむをえない限度にとどまっている」として憲法に違反しないとする判断を示しました。

大阪市は、ヘイトスピーチの抑止策として、弁護士などでつくる審査会が認定した場合は、ヘイトスピーチを行った
個人や団体の名前などを公表することを市の条例で定めています。

この条例について市内の男女8人が裁判を起こし、憲法が保障する表現の自由を過度に制約するおそれが
あると訴えていました。

17日の判決で、大阪地方裁判所の三輪方大裁判長は、「条例は表現の自由を制限する側面があるものの、
民族差別や憎悪の感情を増幅させることや暴力行為に発展することを抑止するという目的は正当で、
名前などの公表も公共の福祉による合理的でやむをえない限度にとどまっていて、表現の自由に対する制限として
容認される」と述べて憲法に違反しないとする判断を示し、原告の訴えを退けました。

判決後に会見した原告側の弁護士は、「基準が曖昧な規制は表現者を萎縮させる。納得はしないが、
問題を議論するうえでは土台となる重要な判断だ」と話しました
https://www3.nhk.or.jp/kansai-news/20200117/2000024325.html