2020年のホンダの新たなスーパースポーツフラッグシップ・CBR1000RR-Rは、6軸のIMU(慣性計測装置)を活用しながら電子制御機構を強化し、電脳面を大幅にアップデート。
前稿まで詳しく解説してきたRR-Rの突き抜けた性能をどうコントロールして最大の成果を引き出すか。電制に課せられた役割は決して小さくないだろう。

6軸IMUを活用して電子制御機構を高度化

現代のスーパースポーツは、電子制御の進化が性能アップのカギとなる。CBR1000RR-Rも、その点に抜かりはない。 

まずボッシュ製のIMU(慣性計測装置)は、これまでの5軸から6軸タイプに進化した。これをパワーユニットやABS、SP仕様に使われる電子制御サスのコントロールに活かす。

トラクションコントロールシステムのHSTC(ホンダセレクタブルトルクコントロール)には、後輪のスリップをコントロールする従来の機能に加えて、後輪がスピンしはじめた直後のスリップ率を制御する機能が追加された。
これによりHSTCはライダーが予測できるバイクの挙動になるよう、急激なスリップ率の上昇もコントロールできる。HSTCは9段階+オフに設定可能だ。

サーキット走行にも対応するスーパースポーツモデル専用ABSは従来型にも標準装備されていたが、
RR-Rではこの介入が公道走行も視野に入れた「スポーツ」と、より本格的なサーキット走行に対応する「トラック」から選択できるように。
これまでと同様にIMUのデータを制御に活用するが、IMU自体もバージョンアップしており、制御は全体的に高度化されている。

標準のライディングモードは3タイプ。ライダーが任意で、パワーを5段階、エンブレの効き具合を3段階、ウイリー制御を3段階+オフに切り替えることが可能だ。
さらに、トラクションコントロールは9段階+オフ、ABSは2タイプ、レース対応のスタートモードは回転数を3段階から選べるなど、極めて充実した内容となっている。
なお、ライディングモードなどの変更は、新設計された左手側の4方向スイッチで実施。その左側にはモードスイッチを備える。


次稿では、CBR1000RR-Rの主要装備について、STDとSPの違いの比較を中心に紹介する。

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