【動画】尾上菊之助が名作『風の谷のナウシカ』を歌舞伎舞台化
https://www.youtube.com/watch?v=Uyf4oy10YnI


(クロスレビュー)新作歌舞伎「風の谷のナウシカ」

 400年の伝統芸能は、国民的アニメの世界をどう3次元化したか。宮崎駿の漫画を
原作にした新作歌舞伎「風の谷のナウシカ」が、東京・新橋演舞場で25日まで上演中だ。
見巧者3人が分析した。(略)


■すごくかわいい菊之助 辛酸なめ子さん(コラムニスト)
 目に見えない存在や怪奇現象が生き生きと演じられていた印象です。歌舞伎の世界と
相性が良いのでしょう。人魂(ひとだま)や妖魔、墓の主の精が出てきた。王蟲の精と
ナウシカが踊るシーンで幽玄の世界に誘われました。
 男性にナウシカの魅力が再現できるか興味があったんです。尾上菊之助さんはすごく
かわいい。まつげが長くて声も高い。帽子をかぶったときのボブヘアになってる感じは
再現度が高かった。熱意を持ってたっていうだけあって、なり切っていらっしゃった。
 役者が客席を指さして「王蟲が来た」という場面があったので、王蟲になった気分で、
人間たちの愚かな戦いや貴族の傲慢(ごうまん)さを見ることができました。ナウシカが
愛機メーヴェに乗るシーンは思ったほど多くなかったです。
 とにかく、人がいっぱい死んだなあ。一生分の戦いを見た気がする。立ち回りを繰り
返すことで、平和の大切さを伝えられた気がします。その合間に鳥や馬、鹿と動物が
出てきて、癒やされました。
 途中でストーリーを追い切れなくても、半ば強引に展開するので最後まで見られ
ましたが、途中で誰と誰が戦ってるのか分からない場面もありました。人物相関図や、
「だいかいしょう(大海嘯)」などたびたび出てくる難解な言葉の資料は無料で配っても
いいかも。
 できればロングランしてもらって、昼の部と夜の部を別の日に見たい。場面転換が
多く、ゴージャスなセットの記憶がすぐに上書きされてしまうのが、もったいないです。
https://www.asahi.com/articles/DA3S14296924.html