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駅前にタワーマンションが林立し、近年は「住みたい街ランキング」上位常連。川崎市中原区の"ムサコ"こと武蔵小杉が揺れている。

10月に来襲した台風19号による大雨で、中原区では住宅半壊483戸、床上浸水381戸、
床下浸水114戸の被害が出た。ムサコも広範囲にわたり水没し、浸水の深さは最大1.3mに達したのだが、
その被害拡大の原因をめぐり、一部地域の住民が憤慨しているのだ

「あれは人災です!」

そう憤るのは、多摩川の堤防近くに住み、床上浸水の被害を受けた40代の男性だ。
「浸水被害は、普段は雨水を多摩川に排水するために使われる排水管を増水した川の水が逆流し、
マンホールや溝から噴き出す形で発生しました。行政がしかるべき対策を取っていれば、こんな被害にはならなかったはずです」
中原区にある多摩川の堤防には水門が設置されている。普段は雨水などを川へ排出するために開放されているが、手動で閉めることも可能だ。
川崎市上下水道局の記録によると、台風が接近した10月12日16時頃、多摩川の水位は基準面より
8.4m高い「氾濫危険水位」に達した。同22時30分頃にはさらに2m上昇し、川の水が街じゅうで氾濫し始めていたが、
それでも水門が閉じられることはなかった。
ようやく閉門作業が開始されたのは深夜23時頃。ところが、大量の土砂が混じった濁流を前に水門はなかなか閉まらず、
完全に閉鎖できたのは翌日の午前11時頃。この間も逆流による氾濫は続き、水没エリアが拡大した格好だ。
東京都江戸川区の元土木部長で、『首都沈没』(文春新書)の著者である土屋信行氏は市の判断の遅さを指摘する。
「川の水位が付近の土地より上昇すれば、逆流するのも当然。水門はそうなる前に閉めるのが基本です」
実際、同じ多摩川に隣接する東京都世田谷区では、12日19時時点で水門を閉じている。川崎市ではなぜ、その判断が遅れたのか?